Yasuko MASUDA
古物を蒐集する癖がある。
歯車、圧力計、螺子、杼・・・
人の手垢の付いた、くたびれたモノたち。
それらと合体させてオブジェをつくる。
錆や虫食いも美しく自然な佇まいのする、飾り気のないものが出来れば最高だ。
その作品たちには、決まって2つのモチーフがある。
ひとつは、アルルカン。
長い間、会社員をしていた。
当時は、人より多く働くことが美学とされ
華美な生活と徒労感の中、日々が過ぎていった。
パウダールームの鏡の前の私たちの顔は、まるでピエロそのものだった。
ずいぶん時が経た頃にふと、手慰みに作った最初の手彫りのひとがたが出来た。
まるで自画像のようだったことを覚えている。
相変わらず、ひとがたを今も作りながら私は何者なのか‥と問い続けている。
もうひとつは、舟。
ある時は、ぐんぐんと進み、時にはぐるぐると彷徨いつつ自身も世界も進んで行く。
流れに逆らいながら、委ねながらくりかえし生命の営みは続いて行くだろう。
渦の中に消えないように、
古物の力を貰いしなやかでゆりかごのような舟を作りたい。
増田泰子
1969 長野県上田市に生まれる 千葉市にて育つ
1990 武蔵野美術短期大学卒業
1990-2006 商業施設の看板制作・ディスプレイを行う
1993 -2002 コンクールを中心に活動
1995 初個展(サエグサ画廊/銀座)
2009- 訪問介護員としてターミナルケア等を行う
2011-2023 百貨店を中心に個展・グループ展
2012 ART KYOTO 2012 参加
2014- 長野県上田市に私設美術館「心の花美術館」を開館する
その他、グループ展・個展多数